第9回ヨット移転会議
日時:平成11年2月24日(水)16:00〜18:00
場所:名古屋大学工学部9号館3階会議室
出席者:
名古屋大学ヨット部長 林良嗣
愛知学院大学監督 野澤淳二
名古屋学院大学学生課 山本孝幸
名古屋大学学務課 加藤貞夫
南山大学学生係長 河村裕之
愛知学院大学 鈴木康介
名古屋大学主将 山沢洋一
(敬称略)
●事故の対処について
名大林:今回はまず、事故への対処の施策について、前回配布した対処案に意見のあった修正点を交えて、山沢君から説明願いたい。
名大山沢:資料(以下、資料参照のこと)について前回と異なる点は、4.整備の徹底と、5.その他を加えたことである。内容は次のとおりである。
1.出艇と帰着の判断
<情報収集>
・前日の22:00からのNHKラジオの18:00の気象情報による天気図の
作成
・当日朝のNHK気象情報
・出艇前の名古屋地方気象台予報課への問い合わせ
・出艇直前の海上の状態
現在の方法では下級生が判断しづらい。
→8m/sを越える場合は出艇方法を考える、とか、12m/sを越える場合は出艇を見合わせる、など、判断基準を数字などで具体化し、後輩などにもわかりやくする。これによって、たとえ下級生のみの練習になっても、安全に練習ができるようになる。→経験的にしかわからないことは、きちんと後輩に伝承していく。具体化できるものはそうしていく。
出艇方法に関しては上述の通り。8m/sならば、たとえば470級、スナイプ級のどちらかを出艇させる。これは、片クラスだけで練習すれば、まとまって行動でき、何かあったときの対処がしやすい、ということである。さらに、上級者主体のメンバーで出艇するべきである。12m/sでは出艇しない、ということにし、また、危険な状態で出艇する場合は、必ず事前ミーティングを行い、起こりうる危険を予想し、回避の方法を確認する。
<帰着判断の基準>
・気象が急に変化したとき
・風があがってくると予想されるとき
このほか、レスキューに携帯電話を持っていって、気象台に問い合わせるのも
よい。
2.練習形態
風が8m/s以下の場合は普段通り各校自由練習で、8m/s以上の時は合同練習にし、レスキューも複数出せるようにする。
3.救助体制
今回の事故の際、名大は、名工大と愛知学院大が出艇していたことを知らなかった。→これが原因で捜索に向かうのが遅れた。→大事故につながりかねない
この状態を防ぐために、誰が出艇しているかわかるように、名大艇庫まえに出艇メンバー表として、ホワイトボードを設置。スキッパー、クルーの名前や、セールナンバーを記入し、着艇後に消す。
・現在、レスキュー艇間の連絡方法はない。
→各レスキュー艇にトランシーバーを設置。さらに、陸との連絡のために艇庫にもあった方がよい。
→この体制ができあがるまでは、携帯電話で代用。(最近の事故で、携帯電話のおかげで助かった、という例もある。)
・ローテーションを組んで、陸に海上を監視する人をおく。
・レスキューには必ず上級者を。
・事故発生時の通報体制→・すぐに他のレスキュー艇、陸、海上保安庁に連絡。
・SOS信号、赤旗、発煙筒など周りに事故を知らせる工夫をする。
・何とかなりそうでも、海上保安庁へ逐一連絡をしておく。(有事の場合に有効)
・レスキュー処置に関する事柄をポスターなどにしてレスキューに張る。
4.整備の徹底
5.その他
・安全講習会などを開き、全員のレスキュー能力を向上させる。
・漁協に救助していただいた前例から、漁協にも活動計画表を提出しておく。
以上が、修正後の事故対処の提案である。
これについて以下の意見があった。
林:“レスキュー”という単語の意味がいくつか有るので、“レスキュー艇”“レスキュー活動”の区別をはっきりした方がよい。また、レスキュー艇に貼るポスターの内容は何か?
山沢:資料にある通報体制と、現場で行うべきことを書きたい。
林:自分たちが行う救助活動そのものに関しては書かないのか?(応急・人工呼吸…)。
また、現場でやる手順を記載すべきではないか?
愛学院大・鈴木:救助活動については、先日学連の方で安全講習会というのをもちまして、各ヨット部最低2名出席して、海陽ヨットハーバーで応急処置等の指導を、消防・海上保安庁の方から受けた。各大学とも、担当者がハンドブックを必ず持ち帰ったと思う。出席者には資格が与えられたので、各大学に2名は応急処置のできる人間が居るはずである。
林:この講習会は毎年やっているのか?
鈴木:これは今回の事故の反省に立って、急遽中部の全大学を招集して行ったものである。
林:毎年行うべきである。毎年行われていないから、何年かごとに事故が起こる。依頼すれば無料でやっていただけるようなので、毎年必ずやってもらうことにしたい。
山沢:この文書は今はシーズンオフで各大学とも3月から練習にはいるので、今シーズン
の初めから有効にしたい。日付は今日(2/24)付けにしたい。
●艇庫移転について
林:現在、艇庫移転の話がどの程度になっているか説明したい。愛知県と話し合ったが、愛知県が最大限できることは、港湾等の維持管理費により、仮設の屋根をつけて、これを各大学が所有する艇と実業団用、一般県民用として設置する案である。賃料は野積みの倍とのことである。資料3は名古屋大学学務課の千葉課長と、加藤さんと私(林教授)で、愛知県の案では我々の条件とは合わないこともあり、学連名で蒲郡市に艇庫等(合宿所含む)の土地を海洋ヨットハーバーの近傍に斡旋してもらえないか依頼しようとするものである。近傍とは資料3の通り、5km圏内でかつ、交通至便な場所ということ。できたら、海洋ヨットハーバーの裏に蒲郡市の土地あたりに建てたい。それができない場合は、民有地でもこの条件を満たしている土地を斡旋してほしいとの内容である。これは、来年、再来年の予算を考えると、秋までに土地を確保しなくてはならないこともあり、こういう動きを始めた。たとえば、国立大学の場合、国も財政が厳しくなり特別な予算で艇庫等を建てるのは難しくなってきている。だから、早めに動かなくてはいけない。また、私立大学の場合も、各々違うがだいたい同じ状況がある。予算の要求時期に間に合わせなくてはならないのは同じである。それぞれの大学で予算のリミットを確認し、その締め切りまでに蒲郡市の方にお願いしたい。
加藤:県の方針は、海陽ヨットハーバーに仮設艇庫を建てるということである。各大学はこれと別のところに合宿施設が建てれれば、そこに所有艇をおいて、ハーバーには最小限のヨットを野積みし賃料を安くする案である。海陽近隣の国有地から当たってみた。財務局に照会し、蒲郡市内に海上保安庁の宿舎の跡地があるとの情報を得た。しかし、面積はあるものの点在しているために各大学が集まるほどの広さはとれなかった。このこともあり、蒲郡市の所有地等も当たる必要もあるので、資料のとおり借用条件を一覧表とした。条件は、ハーバーまでの距離は5kmまでならばなんとかなるのではないか。各大学がまとまらないと意味がなく、各大学200uとして7大学で1400uとした。賃料は7大学併せて、250万円/年(1大学35万円)ととし、これは常滑新港に移った場合と同額程度とした。この程度でないと難しい。国立大学では民有地の買い上げができない。なお、土地はすぐに建物を建てられる状態であることも必要であり、基本的には各大学が土地の整備をすることになっている。電気・ガス・水道も使用可能であること、また、近隣が受け入れを許可することも、条件の一つである。以上が今回の名古屋大学の意見である。
林:各大学で条件が違うと思うので、今回の会議では意見を聞き蒲郡市に依頼したい。前企画調整課長(情報ネットワーク推進室長)の足立さんの方にお願いしている段階である。各大学の条件をもう一度確認したい。国立大学の場合は、買い取りのための予算措置は不可能。賃料にしか予算は出ない。私立大学はどうなっているのか?
南山大・河村:少なくとも現在は賃料を払っているので、賃料を払うことは可能だが、買い取りとなると難しい。(金額にもよる)
林:愛知県港湾課長・山口課長から今、電話があり、県はいま行革で、こちらの話はまるで進んでいない。さらに平成12年度から改革を行う。その中で、港湾部門は非常に無駄が多いと言われ、縮小していく方向にあり、ハーバーも勿論その対象であるとのこと。以前県が提案していた、屋根付きの仮艇庫の話は生きていると考えてもいいと言われた。知事は交代されたが、来年度予算は前から決まっているので、来来年にむけて話を進めていきたい。また、県には土地を貸すという考えは全くないとのこと。周辺のラグナックスアイランド(第3セクター)のことも聞いたが、これは蒲郡海洋開発という半官半民の会社がやっていて、こちらの方から土地を借りることも考えてもいいと思う。話を元に戻すが、予算のことに関して名古屋学院はどうか?
名学院大:今のところの情勢の厳しさは変わっていない。今の時点では借用ができても建てられない。現行の借地料しかでない。いずれにせよ、買い取りは不可能。
愛学院大:借地になると思う。どうも大学は現在の借地と同様に考えているようだ。
林:他は大学職員が出席していないので、話ができないが、どこの大学も継続して借用という話になっていたのだから買い取りがいいというところは無い。一応この資料3の通りの案で依頼したい。
愛学院大:アメリカズカップの基地の用地の借用はどうか?
また、ヨットハーバーから5kmという距離は学生にとってどうか。
林:これは、普段使用するヨットだけを海洋ヨットハーバーに置いて、その分は野積みを払い、当面使用しない船は艇庫に入れておく考え方である。また、アメリカズカップの土地を使う場合、船の乗降はどのようにするのか?
愛学院大・鈴木:学生ヨットはウィンチを使うのでは効率が悪いので、スロープをつけないと無理である。アメリカズカップのベースキャンプは、土地自体は大変広く、きちんとしたハーバーになっているので、合宿所とスロープさえあれば、全く問題はない。
林:この資料3を蒲郡市に依頼するが、アメリカズカップベースキャンプ周辺の用地も列記したい。
愛学院大・鈴木:何度も言っていることだが、海陽ヨットハーバーに野積みをするのはお金がかかりすぎる。それでは活動ができない。もし、それが安くなるのならばそういうこともなくなる。やはり、野積み料金とレスキューの料金とが安くなるという場合にこの案が通るようにして欲しい。今まで金のかからなかった部分なだけにつらい。大幅に安くして欲しい。
南山大:借地面積をもっと現実的な数字で考えてみると土地は見つかるのではないか?
林:7大学一緒でないと意味がなく、学生スポーツの意義がなくなってしまう。できるだけ、大学間で協力したい。土地に関しては、工夫すれば1000uあたりにおさまりそうである。
愛学院大・鈴木:自分の考えだが、海陽ヨットハーバーに安く船が置ける場合、各大学の宿泊施設が個々に別である必要がないのではないか。船を置く場所が確保されれば、住む部分に関しては大きな場所は要らないのではないか。
加藤:学連が学連としてどこかから借りて、それを学生が若干安い賃料で借りられるというような運営はできないのか。宿泊施設などを学連で一括で契約して借りたりできないか?
常滑は賃料も安くお金がかからない。本来ならば、漁協等の損害保険に入ったり、もっとお金をかけて活動すべきところを、今は全くやってない。今の条件にこだわると見通しがますます悪くなる。とにかく部員の減少をくい止めて部活を活性化することにより、お金も出るようになるし、負担も減る。
林:やはり学連の建て直しが必要ではないのか。いずれにせよ、このお願いを出してみる。蒲郡市と、ラグナックスアイランド、アメリカズカップの用地も加えたい。また、どうにもならなくなった場合、常滑も考えざるを得ない。13年3月までに結論というのはほぼ白紙になっているが・・。
愛学院大:話が戻るが、安全に関することだが、先ほどのように蒲郡で2名が安全講習会を受けて、それを持ち帰って各大学ごとに教えるというのも一つの方法だが、常滑にもそういった講習会はあるので、一度依頼して全員が安全講習会を受けるべきだ。いつ事故が起こるかわからないし、条件のいいときにだけ起こるわけでもない。
林:新入生が入るのを狙って実施してほしい。依頼すればいつでもやってもらえるのか?
愛学院大・鈴木:いつでもいい。むしろこちら側の認識が甘かったせいで毎年そういった誘いがあっても断っていた。フィッシャリーナクラブに所属しているので、そこで年1回人命救護の講習会には参加できる。しかし、毎年練習日に重なって行っていない。これからは考えてみる。
林:なんとか全員が受けられる日時を検討してほしい。
なお、次回は3/24(水)16:00から行うことにした。