2009年09月17日複雑系科学専攻

様々な分野を扱う複雑系科学

地球創生以来、原子、分子、無機、有機、生体高分子、細胞、生体と進む物質変化は複雑さが増すにつれて段階的、自律的に秩序形成されてきた。これらのシステムにおけるダイナミクスは、構成要素である多数の分子、ニューロン、エージェント等と、それら要素間のネットワークからなる分散型情報システムの振る舞いとみなすことができ、予期できない秩序構造や機能を動的、自律的に生み出している。このような現象は、物質、生命だけではなく、個体レベルを超えて生物集団、社会、組織、国家等にもみられる。これらの現象を理解するためには、個々の要素とそれらの相互関係を探求することでモデル化を行い、コンピュータシミュレーション等を用いてダイナミクスを解明する必要がある。その成果は、バイオインフォマティックス、ロボティックスなど様々な実問題に応用されている。

広い分野から集まった教員と学生

複雑系科学は文理にまたがる広い分野を対象としているため、本専攻は理学、工学、人文学、社会学等の様々な学問分野を経験している構成員からなっている。本専攻を目指す学生も多様であって、在学生における名古屋大学の出身者の割合は半分程度であり、留学生も多い。学内外を問わず広く多様な学生が集まっていることが本専攻の特徴である。このような本専攻の活動に興味を持たれた方は是非個々の教員にコンタクトして頂きたい。連絡先等がよくわからない場合は専攻長までご連絡いただければ幸いです。

複雑系科学専攻の活動

本専攻の構成員が関わった研究活動の例として21世紀COE「計算科学フロンティア(FCS)」をあげることができる。21世紀COEプログラム「計算科学フロンティア」は本学の工学研究科計算理工学専攻が中心となり、これに工学研究科の他専攻、情報科学研究科、経済学研究科などが加わって遂行された。ナノサイエンス、ゲノム科学、流体力学など広範な応用諸分野とアルゴリズムやソフトコンピューティングなど基盤分野の研究者が協力することで、従来経験的にしか扱えなかった複雑・多次元・非線形な現象を解明する手法を確立することを目指した。このテーマは本専攻の活動とよく一致していたので、本専攻の教員の多くが事業推進者、事業協力者として参加した。また、多数の大学院生がTAやRAとして参加し、研究や学会発表を行うだけではなく、セミナーやシンポジウムを自主的に企画運営した。プロジェクトの大きな目的の一つは若手研究者の育成であり、このような大学院生の積極的な活動はプロジェクトの遂行に大きく寄与することとなった。このプロジェクトは平成20年度をもって終了したが、その成果は高く評価され、評価Aが与えられている。(名古屋大学のCOEにおいてA評価が与えられたのは、これを含めて2件のみである。)このほかにも、本専攻の構成員は理学、工学、人文学、社会学など様々な分野で積極的な研究活動を行っている。

  • シンポジウム参加者
  • シンポジウムでの講演風景

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