2007年07月31日情報システム学専攻

IT分野における人材、とりわけ高度な専門性を有するソフトウェア技術者を育成する教育システムの構築が必要との学界、産業界の双方の認識から、文部科学省「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」が昨年度から始まりました。

名古屋大学は、南山大学、愛知県立大学、静岡大学の3大学、トヨタ自動車株式会社、株式会社デンソー、ブラザー工業株式会社、富士電機リテイルシステムズ株式会社、東京エレクトロン株式会社、株式会社オートネットワーク技術研究所の連携企業6社と共同で、産学連携の実践的教育プロジェクトであるOCEAN:「OJLによる最先端技術適応能力を持つIT人材育成拠点の形成」を申請し採択されました。

本学では、本専攻と組込みシステム研究センターが中心となり、制度やカリキュラム設計、環境構築を行い、平成19年4月から、大学院情報科学研究科博士前期課程にITスペシャリストコースを設置し、講義を順調に進めております。

本コースのカリキュラムは、1)ソフトウェア工学の講義科目、2)PBL(Project Based Learning)によるソフトウェア工学応用演習科目[PBL科目]、3)支援企業から提供される実テーマの開発プロジェクトに参加し、OJL(On the Job Learning)を実施するソフトウェア工学実践研究科目[OJL科目]から構成されています。

  • 最先端技術適応能力をもつソフトウェア技術者を育成ITスペシャリストコースの概要

講義、PBL科目については、本教育プロジェクトの共同事業実施校である南山大学、愛知県立大学と連携企業との協力により、この分野の第一線で活躍する大学教員と企業技術者(非常勤講師)が協力して、学術から実務に至る広い技術を網羅する内容になっています。これにより講義科目では、単に最新技術の紹介に留まらず、その奥にある根本的な考え方(メタ技術)を学生に理解させ、真の意味でのITを先導する技術者に必要なソフトウェア工学を系統的に学習できるように構成することができました。

OJL科目は本教育プロジェクトの核であり、支援企業から提供される製品レベルの開発プロジェクトに学生を参加させ、自らの体験から講義内容を更に深く理解するとともに、高品質なソフトウェアを生み出している支援企業で使われているプロジェクト管理手法の実際についても学ぶことができます。名古屋大学では、このプロジェクトにおけるソフトウェア開発の成果物を修士論文相当の修士製作とすることで、1。5年間という長い期間、集中してOJL科目に携わることのできる環境を整えました。

初年度においては、本プログラムの連携企業であるトヨタ自動車株式会社、株式会社デンソー、株式会社オートネットワーク技術研究所、ブラザー工業株式会社との間でOJL科目開講に合わせて、OJL科目での開発テーマ提供や開発プロジェクト体制について準備を進めています。これら支援企業からは開発テーマの他に、プロジェクト管理者と実際に開発に携る技術者とを合せて名古屋大学(一部は連携大学にて実施)に派遣いただき、大学教員の指導の下、学生への教育に当たることになります。

OJL開発プロジェクトは、大学院情報科学研究科附属組込みシステム研究センターの設備や産学連携の様々な支援体制を利用して実施されます。名古屋大学では、これに合せて、情報連携基盤センターの建物を一部改修し、これまで学内外に分散していた附属組込みシステム研究センターの研究施設を集約いたします。これによって、附属組込みシステム研究センターの研究・教育の拠点機能が更に増強されることが期待できます。

情報システム学専攻のウェブページ:http://www.i.is.nagoya-u.ac.jp/

「OJLによる最先端技術適応能力を持つIT人材育成拠点の形成」のウェブページ:http://www.agusa.i.is.nagoya-u.ac.jp/ocean/

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