2013年2月1日小川泰弘 准教授(社会システム情報学専攻)2012/12/1着任

2012年12月に着任しました小川泰弘です。
研究テーマは自然言語処理、その中でも機械翻訳に関する研究を進めています。

研究対象の一つが膠着語の翻訳です。
膠着語とは、単語に助詞などが接続することによって文法的な意味を表す言語の総称であり、日本語も含まれています。
私は同じく膠着語であるウイグル語やウズベク語と日本語との間の機械翻訳を研究しています。
ウイグル語は中国の新疆ウイグル自治区に住むウイグル族の人たちが使用する言語であり、ウズベク語は中央アジアのウズベキスタン共和国の公用語です。
日本ではシルクロードの国々と呼ばれる場所ですが、実は、このウイグル語・ウズベク語の文法は日本語と良く似ています。
語順はほぼ同じですし、助詞によって文法的な機能が示されるため、語順が自由である点も共通しています。
また、いずれの言語でも、主語を省略することが可能です。
こうした共通点があることから、下図に示すように、日本語の単語を順番に翻訳して繋げるだけで、ウイグル語として通じる文になります。
そこで、こうした膠着語の特徴に着目し、日本語・ウイグル語・ウズベク語に共通の文法を適用するなどの手法で、日英翻訳とは異なるアプローチの研究を進めています。

もう一つの研究テーマは法令翻訳支援です。
現在、日本に住む外国人だけでなく、日本に進出する海外企業や、日本を参考にして法制度を策定する国々などが、日本法令の翻訳を求めています。
従来は、そうした要求に対応するために個別に法令が翻訳されてきましたが、それにより同じ法令用語が別々の語に翻訳されるという問題が起きていました。
そのため「異なる訳語が使用されているから、この法令はこの事例に適用されない」といった誤解を招く可能性がありました。
そうした状況を変えるために、政府主導で法令英訳の統一が図られました。
それを機械翻訳などの自然言語処理の技術で支援する研究をしています。
具体的には、訳語を統一するための標準対訳辞書の構築を支援したり、実際の翻訳が標準対訳辞書に準拠しているかをチェックするツールなどを作成しました。
こうした研究の成果を元に、法務省が運営する日本法令外国語訳データベースシステムの開発に携わりました。
現在は法令翻訳支援だけでなく、法令の起草・改正・公布といった法制執務を支援する研究も進めています。

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