2005年11月28日計算機数理科学専攻
三井研究室

 数値解析を基軸に、計算理工学および数理モデリングへの応用・発展をめざして、常微分方程式系とその関連する問題に対する数値アルゴリズムの研究を行っています。

微分方程式(常微分方程式や偏微分方程式を思い浮かべて下さい)は、数学的概念には違いありませんが、科学研究にちょっとでも携われば、いろいろな局面で微分方程式を表現されたモデルに出会います。なぜか?「自然は連続である、そして運動・変動・変化を数学的に表現するのが微分方程式である」という原理が底流にあるからです。さらに最近は、自然現象だけではなく、他のいろいろなモデルも微分方程式で表現されることが多くなりました。現象に対する数理モデルをたて、これをコンピュータの力を使いながら解析し、シミュレーション結果から問題の定性的・定量的な情報をえて、新しい知見を進めるという、数理モデリングの過程が繰り返されています。数理モデルの多くが微分方程式として表わされますが、微分積分といった、数学的に「無限小演算」とよばれる演算を、コンピュータ上に直接実現することは不可能(コンピュータはディジタル)で、なんらかの離散化(ディジタル化)や近似が必要になります。これを手続きとして表現するのが、アルゴリズムということになります。新たなアルゴリズムによって従来解けなかった問題が解けるようになったり、従来の数千倍の速さで解けるようになったりするので、モデルのシミュレーションでは数値アルゴリズムが決定的なのです。

研究室では、同じ専攻の小藤俊幸・助教授と緊密に連携しながら

  1. 数理モデルから生ずる大規模な硬い微分方程式系の離散解法
  2. その並列アルゴリズムとスーパーコンピュータへの適用
  3. 数式・代数処理との融合
  4. 系の保存量を再現する離散解法
  5. 確率微分方程式の離散数値解とその安定性
  6. 差分微分方程式の離散解法とその安定性

などのテーマに取り組んでいます。

SciCADE05研究室の特徴の一つとして、このようなテーマが本質的にもっているのですが、国際性・国際交流があげられます。論文や講演発表を英語で行うだけではありません。研究者同士の交流も大事にしてきています。こうした活動の一環として、2005年5月には250人規模の国際会議を名古屋に招待し、一週間に渡って開催しました。その時のポスターが右に掲げるものです。

参照URL:http://www.math.human.nagoya-u.ac.jp/~mitsui/

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