2013年1月31日情報システム学専攻・情報プラットフォーム論講座
宮尾研究室

● 研究室の概要

 人に優しいユビキタス社会の構築をめざして、モバイル機器のユーザビリティや評価方法、電子ペーパーの評価基準、自然で疲労の少ない3D映像について、また災害時や防災の面から多言語情報システムの開発をおこなっています。情報分野でユーザビリティ=人間中心のシステムの構築や実社会での応用を意識した研究をおこなっています。

● 多彩な研究テーマ

 本研究室で実施している研究としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. 立体映像の自然な見え方の研究

     立体映像と人間の視覚に関する研究を行っています。立体映像視聴時の問題の1つに、3D酔いや不快感があります。この主な原因として現在広く言われているのが輻輳調節不一致説です。現実像の自然視では、両眼の輻輳と水晶体調節の焦点は一致するが、両眼視差を利用した仮想現実の立体映像表示システムでは、輻輳によって期待される立体像の位置と焦点調節が一致しない。というものです。しかし、仮想現実像を注視している状態での水晶体調節を調べると、視標の動きに追従して遠方および近方に焦点調節が起こる。 当研究室では、両眼視による自然視・3Dディスプレイ上の立体映像のいずれの条件でも、視標注視時の輻輳および片目の水晶体調節をリアルタイムで測定し、仮想現実像が人の目に与える影響についての知見を得ています。得られた知見に基づき、安全でダイナミックな、かつ、リアリティを向上させた立体映像を作るためのガイドラインを提示することが目的です。さらに、3Dディスプレイ上での仮想現実画像の遠近運動によって、目の毛様体筋・毛様体小帯の緊張を和らげ眼精疲労を回復する効果も研究しています。

  2. モバイル機器のユーザビリティ

     近年のスマートフォンの普及は著しいものがあります。加えて、iPadをはじめとするモバイルデバイスや、Kindle、SONYリーダーなど各種電子書籍リーダーの普及も進んでいます。これら多様なデバイスには、従来型のバックライトLCDに加え、ガラス面の薄膜化を含め反射率を減少させたLCD、モノクロ・カラーのe-paper、さらにはフロントライト型e-paperも導入され、それらは屋外や車内など環境照度が変化する条件下で使用されます。 ところがヒューマンインタフェイスとしての評価方法は不十分であり、様々な環境照度下における可読性、視認性についての基準や評価方法は確立されていないのが現状です。各種環境照度下における可読性評価や、視角依存性、長時間の快適な読書に適した照度など、新しいデバイスに対する評価方法の基礎的研究、基準づくりを進め、電子ペーパーの国際標準化に向けて提言を行っていきます。

  3. 多言語防災情報システムの開発

     わが国における外国人登録者数は増加しつつあるが、外国人向けの多言語公共情報はきわめて不十分です。 そこで、防災対策、被災地における情報、救急医療をはじめとする医療情報、適切な医療機関の案内について、あらかじめテンプレート定型文を設定し、これを多言語に自動翻訳し、情報配信するシステム開発を行っています。種々の公共情報をテンプレートとして收集し、テンプレートの中の5W1H(いつ、だれが、何を、何のために、どのように)を適切に特定することで、多言語に自動翻訳されるものです。 また、現在アジア太平洋全域への英文の津波警報が、ハワイや日本気象庁を中心に発信されています。これを現地の言語にリアルタイムで、配送するリアルタイム自動翻訳システムを開発中です。

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