2008年10月30日メディア科学専攻・認知情報論講座
齋藤研究室(齋藤洋典教授)

● 研究の概要

 脳はいかにして「意味」を理解しているのだろうか?その仕組みを解き明かすために、人の言語・認知・記憶・感情・行為などの多様な情報処理活動の過程を、認知心理学の手法や、脳機能のイメージング技法などを利用して、認知科学的な観点から研究を進めています。
 人の「想い」は表現されても、伝わらなければ「意味」を失い、また伝わっても「行動」に移されなければ、その「使命」をまっとうすることができません。人々の生活における認知的「支援」をどのようにすれば実現できるのかを実践的に研究することも、わたしたちの重要な使命だと考えています。

 研究室では、齋藤洋典と、井藤(研究員)、清水(受託研究員)、丹羽(共同研究員)の3名の研究員と、7名の学生たちが研究活動を行なっています。メンバーが現在中心的に行っている研究は以下の通りです。

齋藤:
 人の知覚、記憶、言語、思考、注意や意識などの高次精神活動と、それらの活動を支える身体運動・動作・行為・行動などの身体活動との相互作用の解明を目指しています。例えば、言語による精神活動とジェスチャーなどの身体活動とを「つなぐ」知識処理とその脳内「表現」の解明を脳機能のイメージング技術を用いて取り組んでいます。
井藤:
 人間が、人の姿勢を観察した時に作り出すイメージを定量化するための測定とモデル化について、脳機能のイメージング技法を用いた基礎的研究を行っています。
清水:
 心的負荷と安全や安心に関する応用的研究を行っています。
丹羽:
 物語構造とその読み手の特性が感動を喚起するメカニズムに関する研究を行っています。
山本:
 人が自己と他者を評価する過程とそのモデル化に関する実用的研究を行っています。
大井・孟:
 日本語と中国語の二言語併用者の意味処理過程に関する基礎的研究を行っています。
Rumme・李:
 第二言語の理解と運用におけるジェスチャーのはたらきに関する実践的研究を行っています。

● 多様な学生

 研究室の構成は、研究員3名、後期課程学生4名、前期課程学生1名、大学院研究生1名、学部研究生1名の計10名です。その内訳は、日本人5名、アメリカ人1名、中国人4名で、ゼミは主として英語で行われています。また、出身分野は、心理学4名、工学4、芸術1名、法律1名と多様です。

● 学生による、最近の研究発表

 研究員や後期課程の学生は積極的に海外で研究発表を行い、その成果を論文として発表しております。

  • 井藤君の論文「Brain responses to meaningless postures as measured by near-infrared spectroscopy」が、NeuroReport(2008。07)に掲載。井藤君、大井さん、Lepe Arberto君は8月にSeoulの国際認知科学会で研究を発表。
  • Ito
  • Oi
  • Lepe Arberto
  • 山本さん 社会人に対する教育効果の計測方法:受講者の業務遂行能力の自己評価と上司による他者評価(投稿中)
    Paul Rumme君と河野さんは、8月にBerlinの国際心理学会で研究を発表。
    Paul Rumme
    Kawano

● 研究活動を支えるチームワークと共同研究

 齋藤研究室では研究を深めるために、チームワークとdiversity(多様性)を求めて、複数の共同研究を実施しています。

  • Kita(University of Birmingham、School of Psychology、United Kingdom)言語と行為の動的統合過程の研究
  • 白石(東海大学、健康科学部)看護動作の模倣学習における促進諸要因に関する研究
  • 酒井(ユーアイデザイン研究所)デザインにおける審美性と機能性の共存可能性:看護学生と一般学生による新旧デジタル血圧計に対する審美性評定と機能性の理解度(投稿中)

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