2007年07月31日複雑系科学専攻・情報可視化論講座
渡辺研究室(渡辺崇教授)

 世の中には様々な流れがあります。私たちは、流体の運動や、人や物の流れに注目し、それらを理解することを目的としたフルードインフォマティクス(流体情報学)に関する研究を行っています。
流体の運動は、古くて新しい問題をたくさん含んでいます。そのうち、同じ外的な条件でも異なった流動状態が現れる非一意現象や、外的条件のわずかな違いで急激な形態の変化を引き起こす分岐現象を調べています。このとき、計算流体力学に基づく数値的アプローチと、実験的アプローチを用います。これらの現象の解明は、複雑系科学の力学的関心に留まるだけではなく、エネルギ蓄積装置や化学反応機器の運転制御や、トルクコンバータの振れ回り抑制などでも役立っています(図1)。

  • 図1:回転体周りの等渦度面

 人や物の流れを把握するための研究の例として、人の行動が引き起こす物の持ち込み、持ち去りのモニタリングを、コンピュータビジョンにより実現してみました。これは、セキュリティ対策とともに、物の置き忘れなどに対処する、人に優しい環境整備にも役立つものです。広い観測領域を捉えるビジョンと、局所環境を捉える動的ビジョンを用います。これらの複数のビジョンシステムが、お互いの位置・姿勢情報や画像情報を交換し、協調動作することにより、人の動作の検出し、物の動きの認識を行います(図2)。

  • 図2:複数ビジョンによる協調認識

このように、流れを中心に、その精度の良い現象の予測や解析、確実な認識・理解などの基礎的研究、発展的研究を進めていきます。
参考URL:http://vi.cs.is.nagoya-u.ac.jp/

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