2009年09月17日社会システム情報学専攻・電子社会設計論講座
横井研究室(横井茂樹教授)

周囲研究員(男女共同参画室)

同じ講座の安田教授・茂登山准教授と一緒にメディア・デザイングループという協力グループを作っており、毎週1回合同でのゼミを行っている。

● 研究室の概要

 地域情報化に関する研究とデジタルミュージアムの研究を中心に行っている。

[1] 地域情報化のためのツール・支援システムの開発

ここ数十年の情報技術の発達は、企業や教育、行政など社会の様々な分野に浸透し、社会のあり方も変えてきていることは確かであろう。しかし、一方でわが国においても情報化に乗り遅れている人々・グループが少なからず存在する。シニア、地域商店街、地場産業地域コミュニティ、農村、山村などのキーワードが対応する。私の研究室ではこれらの人々にもIT(ICT)が活用できるように支援するためのソフトやサイトの研究を行っている。

  • 図1:e-なもくんソフト
[シニア初心者用インターネットソフトe-なもくん」
7年前に前名古屋市長の提案があって、誰でも使えるようなパソコンソフトを作るためのプロジェクトチームを名古屋市と名古屋大学が中心になって構成し、ソフトウエアと教材を開発した。
  • キーボードを使わないで画面上で簡単な操作により文字を入れられる。
  • ソフトウエアの構造をできるだけ逐次的な処理によって行えるように単純化してわかりやすいものにした。
  • 画面デザインにも工夫を凝らし、見やすい字、分かりやすいレイアウトにしている。
[市民のICT学習支援ウエブサイト(e市民学園)]
一般に、企業や行政などの組織に属していない市民や市民グループにとってパソコンのスキルを継続的に学習していくのは環境が不十分である。市民のICT学習を支援するための学習コミュニティサイト」の研究を行っている。このサイトは市民が自主的に学習できる教材を提供すること、ICTの活用法を理解できること、系統的な学習方法を促進することを目指したサイトであり、市民ICTボランティア講師の協力も得て市民のICTスキルを全体的にレベルアップするための支援サイトを構築している。
[市民グループ活動支援コミュニティサイト(e市民ひろば)]
市民グループ・地域住民グループを対象として、容易に情報共有・情報発信できる場を提供するサイト。「e-市民ひろば」では、予め市民グループに必要な機能を選定した上で、容易に利用できる状態に整えたWebスペースを貸し出す。アパートの部屋を貸すように、大きなコミュニティサイトの中に小さなグループのサイト(グループユニット)を作る。
愛知県春日井市で、町内会グループを対象にして、このe‐市民ひろばの利用実験を行った。全部で13地区がこの実験に参加した。ほとんどの参加者はこういったサイトの利用価値を認め、今後も利用していきたいという感想が大半であった。
  • 図2:春日井のある地区でのグループサイト

[2] デジタルミュージアムの研究

1年ぐらい前から始めた研究である。日本文化全体にあまり関心がもたれなくなっている現代であるが、長期間にわたって継承されてきた工芸や歴史的な資産はわが国の宝とも言える。これらの優れた文化にもっと関心をもち古い貴重なものを保存し生活の中で楽しめるようにしたいという意識から、歴史的資産をもっとわかりやすく、若い世代や外国人に伝えることはできないかと考えて研究を開始した。

  • 図3:徳川美術館における研究ミーティング

現在開発中のシステムは、美術品の知識の関連情報を得やすくし、マップを使って美術品に関する時空間の情報を理解しやすくするシステムと、3次元CG技術を利用して、美術品を3次元表示し立体的かつインタラクティブに体験できるシステムの開発を行っている。

  • 図4:Googleマップを利用した収蔵品の地理情報と時間情報連携表示

● 研究活動の特徴

開かれた研究室作りを目指しており、外国からの研究者の訪問、地域での実践プロジェクト、行政とのプロジェクト、他分野の人々との連携など多面的に活動している。また、シニア研究の実験のために、70代・80代のシニアの方が研究室に来られることもある。
研究室の学生には、現場での実践を通じて色々なジャンルの人と話をしながら研究活動を行うことを薦めている。

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