2012年03月19日出口大輔 准教授(メディア科学専攻)
組織的な若手研究者等海外派遣プログラム

 組織的な若手研究者等海外派遣プログラムにより、アメリカのニューヨークにあるコロンビア大学に2011年7月7日から9月7日までの2ヶ月間滞在する機会を得ました。私を迎え入れてくれたのは、Shree K. Nayar教授です。Shree K. Nayar教授の研究室は、コンピュータービジョンの分野における世界最先端の研究を行っており、特に物理モデルに基づく光学系を中心としたコンピュータービジョンの研究を熱心にされています。また、コンピュータービジョンやパターン認識の分野で最も有名な国際会議であるICCVやCVPRでアクティブに研究発表を行っている研究者が多く集う所でもあります。滞在中は、これまで私が取り組んできた車載カメラを用いた周囲環境認識に関する研究に取り組みました。その中でも、標識検出・認識技術の高度化を1つの題材として取り上げ、Shree K. Nayar先生の得意分野である光学系の物理モデルを生成型学習に取り込むという試みや、生成型学習のパラメータを車載カメラで撮影した映像から自動推定するという試み、最新の機械学習アルゴリズムの実装と評価など、今までやりたくても出来なかったテーマにトライする機会に恵まれました。滞在はわずか2ヶ月間でしたが、アメリカの最先端研究に触れるとても良い機会を得ることができ、また、アメリカの同年代の研究者との議論はとても楽しく、2ヶ月間はあっという間に過ぎてしまいました。
 さて、私が滞在したコロンビア大学はマンハッタン島内にあり、セントラルパークの少し北側、モーニングサイドパークの西側に位置しています。マンハッタン島の中心部から少し離れているため、摩天楼がある中心部と比べるとそれほど高い建物はありません。その替わり、セントラルパークやモーニングサイドパークといった緑豊かな公園に囲まれたとても過ごしやすい地域です。地図を確認すると分るのですが、モーニングサイドパークの東側はハーレムであり、以前は非常に治安が悪く、犯罪が多発する地域だったようです。しかし、近年犯罪の発生件数も減少傾向にあり、比較的安全な地域に変化しつつあるようです。アメリカへの出発前、同僚や友人からマンハッタンの怖い昔話をたくさん聞かされていたこともあり、コロンビア大学へ到着するまではとても不安な日々を過ごしました。しかし、実際ニューヨークに到着してみると、地下鉄は明るく(決してキレイではありませんが)、道路の清掃も行き届いていることに驚きました。行ってはいけない危険地域であると日本出発前に忠告を受けたセントラルパークの北側(コロンビア大学への通勤路の途中)は、多くの人が楽しそうに遊ぶキレイな公園に変化していました。
 わずか2ヶ月間ではありますが、ここに書ききれないくらい多くの思い出があり、とても充実したコロンビア大学滞在となりました。また、日本でもニュースに取り上げられたニューヨーク近郊の地震、私自身初体験のハリケーン(Irene)、といった話題もたくさんあり、一生忘れられない濃い2ヶ月間になったと感じています。最後になりましたが、短期滞在にもかかわらず、私たちを暖かく迎えてくれたShree K. Nayar教授、そして研究室メンバーに感謝します。


  • 写真:大勢の人で賑わうタイムズスクエア

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