複雑系科学専攻
様々な分野を扱う複雑系科学
地球創生以来,原子,分子,無機,有機,生体高分子,細胞, 生体と進む物質変化は複雑さが増すにつれて段階的,自律的に秩序 形成されてきた.これらのシステムにおけるダイナミクスは,構成 要素である多数の分子,ニューロン,エージェント等と,それら要 素間のネットワークからなる分散型情報システムの振る舞いとみな すことができ,予期できない秩序構造や機能を動的,自律的に生み 出している.このような現象は,物質,生命だけではなく,個体レ ベルを超えて生物集団,社会,組織,国家等にもみられる.これら の現象を理解するためには,個々の要素とそれらの相互関係を探求 することでモデル化を行い,コンピュータシミュレーション等を用 いてダイナミクスを解明する必要がある.その成果は,バイオイン フォマティックス,ロボティックスなど様々な実問題に応用されて いる.
広い分野から集まった教員と学生
複雑系科学は文理にまたがる広い分野を対象としているため, 本専攻 は理学,工学,人文学,社会学等の様々な学問分野を経験し ている構成員からなっている. 本専攻を目指す学生も多様であって,在学生における名古屋大学の 出身者の割合は半分程度であり,留学生も多い.学内外を問わず広 く多様な学生が集まっていることが本専攻の特徴である.このよう な本専攻の活動に興味を持たれた方は是非個々の教員にコンタクト して頂きたい.連絡先等がよくわからない場合は専攻長 までご連絡 いただければ幸いです.
複雑系科学専攻の活動
本専攻の構成員が関わった研究活動の例として 21世紀COE「計算科学フロンティア(FCS)」 をあげることができる. 21世紀COEプログラム「計算科学フロンティア」は本学の工学研究 科計算理工学専攻が中心となり,これに工学研究科の他専攻,情報 科学研究科,経済学研究科などが加わって遂行された.ナノサイエ ンス,ゲノム科学,流体力学など広範な応用諸分野とアルゴリズム やソフトコンピューティングなど基盤分野の研究者が協力すること で,従来経験的にしか扱えなかった複雑・多次元・非線形な現象を 解明する手法を確立することを目指した.このテーマは本専攻の活 動とよく一致していたので,本専攻の教員の多くが事業推進者,事 業協力者として参加した.また,多数の大学院生がTAやRAとして参 加し,研究や学会発表を行うだけではなく,セミナーやシンポジウ ムを自主的に企画運営した.プロジェクトの大きな目的の一つは若 手研究者の育成であり,このような大学院生の積極的な活動はプロ ジェクトの遂行に大きく寄与することとなった.このプロジェクト は平成20年度をもって終了したが,その成果は高く評価され,評価 Aが与えられている.(名古屋大学のCOEにおいてA評価が与えられた のは,これを含めて2件のみである.) このほかにも,本専攻の構成員は理学,工学,人文学,社会学など 様々な分野で積極的な研究活動を行っている.
シンポジウム参加者
シンポジウムでの講演風景