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研究者総覧「情報知」

社会システム情報学専攻

氏 名
脇田 佑希子(わきた ゆきこ)
講座等
知識社会システム論講座
職 名
特任助教
学 位
博士(情報科学)
研究分野
複雑系 / シミュレーション科学 / データ工学
脇田 由希子

研究内容

情報科学的アプローチによるストレスフリー社会の実現

研究内容:

1. セル・オートマトンを用いた交通シミュレーションに関する研究
学生時代より,離散的な数理モデルであるセル・オートマトンに興味を持ち,これを実現象に応用する研究として,セル・オートマトンを用いた交通流のシミュレーション研究を行っている.
これまでの主な成果として,複数台の前方車両を参照して自車両の挙動を決定する車両制御モデルを定式化し,その車両制御モデルを用いたミクロ交通シミュレーションを行い,当該モデルにより交通渋滞を緩和できることを示した.さらにそれらの結果に基づいて,ロボット開発キット(Lego Mindstorms)を用いて構築したロボット車両による隊列走行実験を行い,実車走行時に当該モデルを適用した場合の有効性について示している.
また,道路ネットワークにおいて,ある道路が交通量を低下させる原因となる場合があることが指摘されている.そのような問題を最適化問題として定式化し,交通渋滞の原因となる道路リンクを同定するアルゴリズムについてシミュレーション手法を用いて検討した.さらにその解析例として,災害時の避難経路計画問題に関するシミュレーションを行っている.

2. 個人の特性に応じたストレスフリー・ナビゲーションの開発に関する研究
近年,ITS(高度交通システム)の発展により,移動コストが小さくなるような経路を案内するナビゲーションは実現されつつあるが,運転者や歩行者が移動中に感じるストレスに着目し,それを軽減するナビゲーション手法については現状あまり研究がなされていないようである.しかしながら,より快適で持続可能なモビリティ社会を実現するためには,交通行動に関するストレスに着目することが求められると考え,「ストレスフリー・ナビゲーション」の開発に関する研究を行っている.
上述のストレスフリー・ナビゲーションを実現するために,まず,運転者がどのような場面で運転ストレスを感じているかを定量的に評価する必要がある.そこで,自動車運転中の運転者の生体データおよび車両データを収集する運転実験を行い,収集したデータから運転ストレス場面を検出できる可能性について検討を行っている.
また,自動車運転中のストレス要因のひとつに,運転者の思い通りの速度で走行できないことが挙げられる.そのようなストレスシーンに注目し,走行速度に起因する運転者のストレスを小さくするような経路案内手法について数理的分析とミクロ交通シミュレーションにより検討している.

経歴

  • 2011年3月 名古屋大学大学院情報科学研究科博士課程(後期課程)修了
  • 2011年4月 名古屋短期大学 非常勤講師
  • 2013年4月 中京大学 非常勤講師
  • 2014年4月 名古屋大学未来社会創造機構 研究員
  • 2015年9月 名古屋大学エコトピア科学研究所 研究員
  • 2015年10月 名古屋大学未来材料・システム研究所 研究員
  • 2016年4月 名古屋大学大学院情報科学研究科 研究員
  • 2016年10月 名古屋大学大学院情報科学研究科 特任助教

所属学会

  • 情報処理学会
  • 日本データベース学会

主要論文・著書

  1. Excelで学ぶセルオートマトン,オーム社,2011.
  2. Traffic network design by cellular automaton-based traffic simulator, Computer Assisted Methods in Engineering and Science, Vol.22, No.1, pp.51-61, 2015.
  3. Application of Lagrangian relaxation approach to α-reliable path finding in stochastic networks with correlated link travel times, Transportation Research Part C: Emerging Technologies, Vol.56, pp.309-334, 2015.
  4. Platoon Simulation of Vehicle Robots According to Vehicle following Model, International Journal of Advances in Computer Science and Its Applications, Vol.4, No.4, pp.184-186, 2014.
  5. 道路ネットワークにおける不要な道路リンク同定のための一考察,日本機械学会論文集,79巻,808号,C編, pp.4842-4853,2013.
  6. Comparison of Zipper and Non-zipper Merging Patterns near Merging Point of Roads, International Journal of Natural Computing Research, Vol.1, No.3, pp.19-29, 2010.
  7. Utility Analysis of Zipper-Merging for Improvement of Traffic Jam by CA Simulation, Journal of Technical Physics, Vol.50, No.4, pp.387-401, 2009.