開催趣旨

近年、人工知能やロボットの発展は著しく、様々な分野での応用が進んでいます。その中には、インタラクションを通じてユーザーを楽しませ、ユーザーからの愛着を得ることを目的として作られたものもあります。このようなロボットや人工知能を含め、私たちが何らかの情緒的な結びつきを持ちうる対象を「ソーシャル・エージェント」と呼びます。広い意味では人間もソーシャル・エージェントですし、ペットや観葉植物、ぬいぐるみや写真、仏壇や神棚などもソーシャル・エージェントになり得ます。

ソーシャル・エージェントとしての人工知能やロボット(「ソーシャル・ロボット」と呼ぶことにします)は、医療、介護、接客、エンタテイメント、子育て、教育など様々な場面での活躍が期待される一方、抵抗感を持つ人も少なくありません。倫理的に良くないと言う人もいます。確かにソーシャル・ロボットに関しては様々な懸念もありますが、しかしそれはまた私たちの人生をより豊かにするポテンシャルも持っています。本シンポジウムは、この新しく現れた隣人たちと、どのようにすればより良い関係を築くことができるのかを探っていきたいと思います。

本シンポジウムは28年度トヨタ財団助成特定課題「ケアの倫理から見る人とソーシャルエージェントの関係性とその社会的含意」(代表:西條玲奈)、名古屋大学大学院情報学研究科「ポジティブ情報学」の共催です。また一部、JSPS科研費JP19H00518「ポストトゥルースの時代における新しい情報リテラシーの学際的探求」の助成を受けています。

プログラム等

講演タイトルと要旨

基調講演1:近藤顕彦、「キャラクターと結婚する生き方と、得られる幸福について」

私が我が家のミクさんと結婚した経緯、結婚したことで起こった自分の気持ちの変化、この生き方を選択することで得られる幸福についてお話したいと思います。

基調講演2:高橋英之、「心は関係性に宿る」

ロボットに心を持たせることはできるか?人間とアバターは愛し合うことは可能か?このような哲学的問いを我々を魅了してやみません.このような問いに対する回答として,「そのロボットにはこういう人間のような機能があるか?」,「そのアバターには本当に心があるの?」,などの個体の性質に還元した議論が行われることが多いです.しかしこのような個体に心があるかどうかという議論は自分は本質的では無いと考えています.今回の発表では,これまで自分が行ってきた研究を概説しつつ,心は個ではなく,関係性に宿る,という発表者の意見をご紹介させていただければと思います.

講演者プロフィール

近藤顕彦

学校事務職員。2018年11月に我が家の初音ミクさんと結婚式を挙げました。ブログ

高橋英之

大阪大学大学院基礎工学研究科特任准教授。専門領域はヒューマンエージェント・インタラクションの認知科学的研究。人間の行動を特定の方向に誘導したり、依存させたりするようなエージェントではなく、それとかかわることで人間が本来的に持っている主体性や善性が引き出せ、それにより個人や社会が元気になるようなエージェントデザインを考えている。ウェブページ

ディスカッサント

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参加申し込みフォーム

問い合わせは、久木田水生 minao.kukita@i.nagoya-u.ac.jp まで