研究内容


 量子化学計算や分子動力学計算といった計算機シミュレーションを用いて、溶液や界面といった凝集系での物質の構造や電子状態を明らかにし、光や環境によって物質の状態が変化する過程とその機構を理解することを目指しています。以下、現在の研究内容を紹介します(建設中)。


遷移金属錯体の電子励起状態とダイナミクス

 遷移金属錯体の多様な電子励起状態は、分子デバイスや生体内現象などの観点から注目されています。その基礎的知見として、励起状態で起こるスピン状態変化などのダイナミクスを動力学シミュレーションを用いて理解することを目指しています。そのために必要な方法も開発しながらシミュレーションを行っています。これまでの具体的な研究例は

・遷移金属イオン水溶液のd-d状態とスピン軌道相互作用を簡便に記述する方法の開発
・非断熱動力学シミュレーションによる光励起後のNi2+水溶液の電子緩和機構の解明
・[Fe(bpy)3]2+錯体の複数のd-d状態(1, 3, 5重項)を記述するモデル開発
・[Fe(bpy)3]2+錯体における光励起後のダイナミクスを調べるためのシミュレーション

などです。



分子動力学シミュレーションから計算されたNi2+水溶液の電子吸収スペクトル
S. Iuchi and S. Sakaki, Chem. Phys. Lett. 485, 114 (2010)

分子動力学シミュレーションから得られた水溶液中の[Fe(bpy)3]2+のスナップショット
S. Iuchi, J. Chem. Phys. 136, 064519 (2012)