本研究プロジェクトについて

少子高齢化が進展し労働力不足が懸念される中で、介護や育児をする必要がある人や高齢者など、様々な背景や価値観を有する人々が、自らのライフスタイルに応じて多様な活動に参画できるようにすることが重要です。そのためには、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現することが鍵となります。
 ロボットやVRなどの技術によって実現するアバターはそれを可能にするツールになるはずです。その一方で、アバターは人間の生きる根本的な条件を変化させるため、その普及に際しては大きな倫理的・法的・社会的課題(ELSI)も存在します。そこで本研究プロジェクトではアバターが普及した社会の在り方をELSIの観点から探求し、様々な分野のステークホルダーと議論・対話をしながら、よりよいアバター共生社会の実現を目指していきます。

アバター共生社会の倫理 セミナー・シリーズ

本研究プロジェクトの一環として、様々な分野の専門家をお招きしてアバター倫理に関連する研究や取り組みをご紹介いただくセミナーを開催します。

「メディアコミュニケーションのリデザイン」講演会(第3回ReMediCom講演会)のお知らせ

本講演会「メディアコミュニケーションのリデザイン(ReMediCom)」では、新しいメディアの登場やコロナ禍の影響によってコミュニケーションが変化しつつある状況を踏まえて、自由で多様なコミュニケーションのあり方を探求してきました(*1)。

この度、ムーンショット型研究開発事業(目標1)で開発が進められる「サイバネティック・アバター」(*2)の可能性と課題について、歴史的視野の下で検討を行うために、西洋哲学史を専門とされる中畑正志先生と、情報技術史を専門とされる喜多千草先生を講師としてお招きし、ご講演いただきます。ご関心がおありの方はぜひご参加ください。

主催:ムーンショット型研究開発事業目標1「アバターを安全かつ信頼して利用できる社会の実現」(PM:新保史生,プロジェクトウェブサイト)、同「誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現」(PM:石黒浩,プロジェクトウェブサイト

*1: 本講演会は、日立財団2021年度(第53回)倉田奨励金「メディアコミュニケーションのリデザイン――〈身体性〉・〈言語〉・〈環境〉に着目した応用哲学的探究」(代表研究者:呉羽真)の支援の下、第1回(バーチャル美少女ねむ氏講演会)、第2回(鳴海拓志先生講演会)を開催しました。今回は、ムーンショット型研究開発事業目標1のプロジェクトの支援の下、サイバネティックアバターに関する諸問題を重点的に検討します。

*2: 「サイバネティック・アバター」とは、「身代わりとしてのロボットや3D映像等を示すアバターに加えて、人の身体的能力、認知能力及び知覚能力を拡張するICT技術やロボット技術を含む概念」です(内閣府ムーンショット型研究開発事業ウェブサイトより)。

お問い合わせ先:呉羽 真(kureha[at]yamaguchi-u.ac.jp)

第7回(2023年2月19日(日))

第7回は「ビデオゲームとの向き合い方」と題して、児童精神科医で若者のゲーム依存の治療に取り組まれている吉川徹様、eスポーツを主に発達障害のあるお子さんの社会進出のために活用している吉沢純生様、そしてeスポーツを高齢者の方々の福祉向上や世代間交流に利用することを試みている岩尾憲治様のお三方にご講演いただきます。また講演会の後に、参加者の皆様に実際にeスポーツを体験していただき、ビデオゲームとの向き合い方を考えるきっかけ作りの場を提供致したいと考えております。

第6回(2022年7月31日(日))

第6回は「アバター共生社会における身体性とコミュニケーション」と題して、認知科学者の岡田美智男先生(豊橋技術科学大学)と、倫理学者の水谷雅彦先生(京都大学名誉教授)のお二方にご講演いただきます。

*感染拡大を防ぐため人数制限を行う場合があります。あらかじめご了承ください。

第5回(2022年6月12日(日))

第5回は「アバター共生社会のコミュニケーション」と題して、人類学者の木村大治先生(京都大学名誉教授)と、哲学者の呉羽真先生(山口大学)のお二方にご講演いただきます。

第4回(2022年4月24日(日))

第4回は「パラコンシステントな社会」と題して、大西琢朗先生(京都大学)と、永徳真一郎先生(NTT)のお二方に、デジタルツインコンピューティングにおける人のデジタルツインの在り方についてご講演いただきます。

*当日の技術的なトラブルで配信できない可能性もあります。あらかじめご了承ください。

第3回(2022年1月30日(日))

第3回はバーチャルYouTuberに代表されるアバターを利用する際の問題点とその解決可能性に関して、分析美学とポピュラーカルチャーの哲学を研究されている難波優輝先生と、法学者の原田伸一朗先生(静岡大学)のお二方にご講演いただきます。

第2回(2021年12月2日(木))

第2回は「ゲーム依存・ビデオゲーム倫理の研究会」と題して、ゲーム依存症・ネット依存症の治療に取り組まれている藤原広臨先生(京都大学)と、eスポーツをはじめとするビデオゲームの倫理を研究されている岡本慎平先生(広島大学)のお二方にご講演いただきます。

第1回(2021年11月14日(日))

漫画家の山田胡瓜先生をゲストにお招きしてご講演いただきます。ご講演の後は、石黒浩先生、大澤博隆先生、中野有紀子先生、新保史生先生にご登壇いただき、パネルディスカッションを行います。最後に、参加者をまじえて「市民対話*」を行います。

*市民対話:Webinarの「パネリストに昇格」機能を用いて、一般参加者の方にもパネリストとして登壇いただいて、山田先生や他のパネリストの先生方と直接議論できる場を設けます(ビデオカメラをonにしなくても構いません)。登壇をご希望の方は登録フォームでお伝えください。なお、希望人数や職業・年齢の偏りを減らすなどの理由で、ご希望に沿えない場合もありますのでご容赦ください。もちろん、登壇を希望されない方からの先生方への質問も受け付けますので、登録フォームや当日のQ&Aにご記入ください。


本研究プロジェクトはJSTムーンショット型研究開発事業「誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現」JP-MJMS2011の助成を受けています。