本研究プロジェクトについて

近年,心理学,進化生物学,人類学,神経生理学,認知科学などの分野で「道徳性」に関する様々な新しい知見が得られています.一方,ロボット工学や人工知能の分野では,機械に「道徳的」な振る舞いをさせようという研究が行われており,「機械倫理」,「人工道徳」などと呼ばれています.20世紀,自然科学と人工知能の発展によって「知能とは何か」という古くからの問題に新しい光が投げかけられたように,21世紀にはこれらの発展によって「道徳とは何か」という問題に新しい光が投げかけられるでしょう.私たちは科学に基づいて道徳性についてのより良い理解を得ることができるでしょう.しかしながら道徳性についてはまだまだ科学で割り切れない部分もあります.そもそも私たちが「道徳性」ということで何を指しているのかも,必ずしも明らかではありません.そこで私たちは道徳性のうち,科学によって説明されていない部分は何か,そしてその部分はどのように扱うのが適切なのかを考える学際的な研究プロジェクト,「Morality mod Science」を始めました(「x mod y」は「xをyで割った余り」を意味します).「道徳は究極的には科学に還元できる」あるいは「道徳は決して科学では説明しきれない」と前もって断じるのではなく,あくまでも科学の現状に即して道徳性についてより良い理解を得るのが主眼です.

Morality mod Scienceセミナーシリーズ

本研究プロジェクトの一環として,様々な分野の専門家をお招きして道徳に関連する最新の研究をご紹介いただくセミナーシリーズを開催しています.

第7回

第6回

第5回

第4回

第3回

第2回

第1回


本研究プロジェクトはJSPS科研費JP16H03341「科学に基づいた道徳概念のアップデート」の助成を受けています.