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人間の歩行の性質について

人の行動は一般に主体特性と外部状況ならびに両者の関係の枠組みに応じて変化 する.それは歩行経路の選択行動においても同様である.

歩行者の主体特性としては,年齢,性別,健康状態あるいは穏やかな性格,攻撃 的な性格など歩行者の生得的条件や個性,文化的条件など様々な要因が「歩行」 といった行為に影響し,その影響は歩行経路 の選択にも表出する.

また,主体特性と外部状況との関係においては,行動場所が地理的に精通してい るかどうかや,あるいは日常の平常的な場面と,緊急時やパニックなどと呼ばれる事態では歩行経路の選択のあり方も異なってくる. 緊急時の避難行動においては特定の経路の選択を強制したり,あるい は妨害したりする外的な要因の作用があり,きわめて圧縮された時間において, その時,その場の情報に閉じた状況下で選択を行わなければならず,平常時とは根本的に選択の枠組みが異なってくる.したがって,歩行シュ ミレーションシステムを実現するのであれば,経路の選択の仕方や速度をある程 度自由に変更し,個々人の内的条件や外的条件を反映することができるシ ステムが必要となる.



 

Hiroyuki Furukawa
2000-04-08