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対人回避条件の設定方法

障害物を回避するとき,あるいは,対向者とのすれちがいも,通路空間全体の状 況,歩行動作自体の慣性,対物あるいは対人意識,パーソナルスペースなどの絡 みで複雑な経路形成を示す.長山,矢守 [9]の障害物を回避する際 の経路形成に関するまとめによれば,

「中村,小林 [2]は,対物回避軌跡を例示し,同じ く対人回避についても,回避の始点,回避のふれ幅を示している.一方,葵  [3]は,幅員4.5M,6.3Mの通路における自然歩行場面での1対1すれちがい行 動について,両者が互いに近づくにれて離反,逃避するとは限らず,むしろ吸引, 接近する傾向さえあることを示しており,このように通行量に比して十分幅員の 余裕がある場合に,回避にしろ接近にしろ,物体または他人の存在が自己の経路 に影響するのはそれらが進行方向前方に意識されるからであるが,その範囲につ いて,建部謙治,中島 [4]は,街路における複数の障害物(前向きの人や後ろ向 きの人,横向きの人など)に対する男性単独歩行者の回避行動を観測し,歩行者 の個体領域に相当する歩行者前方の「見えないアワ」長さ,歩行者自身の移動に よる距離,障害物の移動予測による距離,の総和を「前方回避距離」として求め ている.これは,歩行者属性や障害物条件ならびに周辺環境の状況等の複合的要 因に依存して多様に変化するものと考えられる.」

としている.そこで,本研究では対人関係に絞り,複合的要因により「前方回避距離」が変化 することを考慮したシステムを提案する.



 

Hiroyuki Furukawa
2000-04-08