1.流れを活用する

1.1 異物通過性に優れたプロペラ型マイクロ水車の開発


    「中空羽根車およびそれを用いた発電装置」, 特許第5696296号,2015年2月20日.

水力エネルギーは天候の影響を受けにくく,24時間・365日の発電を可能とします. 小規模河川や水路などに賦存する小水力エネルギーを活用するため,小型水車(マイクロ水車)が運用されていますが,水流中の異物(落葉やごみなど)に起因して,水車の閉塞と運転停止が頻発しています. そこで,私たちは異物通過性に優れたマイクロ水車の開発に取組んでいます.

図1は水車の立体断面図です. 円環が2本の静止円管の間の同軸上に挿入され,ベアリングで支持されています. 円環内部にはランナ(プロペラ)が固定され,水流の作用でランナと円環が一体的に回転します. この円環の回転がベルトを介して外部の発電機を駆動します.

ランナは,図2に一例を示すように,4枚の羽根をもちます. その中心には,異物通過のための空洞があります.ランナ回転軸を省略したことで確保された空間であり,この水車の独創性のひとつです.この水車を中空マイクロ水車と呼んでいます. ランナ外径D1に対する空洞直径D2の比D2/D1を中空率と定義しています(図2参照). 大学における室内実験と流れのシミュレーション,および静岡県や宮城県の河川およびビル内空調循環水を利用した実証実験を通して,異物通過性と効率に及ぼす中空率の影響を調べ,高性能な中空マイクロ水車を開発しています.

図1 中空マイクロ水車



図2 ランナの一例(D2/D1 = 0.375)