4.流れを可視化する

4.1 気泡プルームの内部におかれた円柱まわりの流れ



液相中に放出された気泡群は,浮力で上昇しながら周囲に液相流れを誘起します. このような気泡プルームは様々な工業装置で利用され,プルームと構造物の干渉がしばしば観察されます. 従来,比較的大径の気泡に対する実験が行われていますが,小さな気液間相対速度をもつ直径0.1 mm以下の微小気泡に関する知見は得られていません. そこで,水タンク底面に電極を設置し,水の電気分解により微小気泡(約0.05 mm)を発生させ,誘起される気泡プルームの内部に置かれた円柱周りの流れを調べました.

図1-1は実験装置の概略です. 透明アクリル製のタンクに水が貯められ,直径D(= 0.03 m)の円柱2本が鉛直方向に直列に設置されています. タンク底面には炭素棒(直径0.16D,長さ3.3D)が置かれ,直流電源から電圧が印可され,水の電気分解により水素気泡と酸素気泡が発生します. 気泡は浮力により上昇しながら周囲に水の流れを誘起します. 気泡体積流量は86 mm3/sであり,気泡の平均直径は0.05 mmでした.

円柱間距離が2Dの場合の気泡プルームの動画を図1-2に示します. 下方の円柱に衝突した気泡が円柱側面ではく離します. 水のせん断層のはく離に対応しています. 気泡のはく離せん断層は,円柱下流で中心軸方向へ巻き込まれます. 下方円柱の背後には気泡が少ない後流があります. 上方の円流は,後流の下流端にあります. 上方円柱の側面でも気泡せん断層が発生し,後流が生起しています.

図1-1 気泡プルームの内部に置かれた円柱の周りの流れの実験装置



図1-2 気泡プルームの内部に置かれた直列円柱周りの流れ(動画)



4.2 気泡プルーム中に射出された渦輪による気泡の巻込み



渦輪は,円環を形成する渦核の周りの渦運動とそれが誘起する並進運動という,2つの運動特性をもちます. 渦輪は,渦運動により物質を渦核内部に巻込み,巻込んだ物質を並進運動により輸送する能力があります. そこで,渦輪による気泡の巻込みと輸送の可能性を探る実験を行いました.

図2-1は実験装置の概略です. 水を貯めたタンクの底面に接続したシリンダの内部においてピストンをスライダで押し上げることにより,シリンダから水中に向けて渦輪を射出します. シリンダ出口端には電極が張られ,水の電気分解により微小な気泡が水中に放出され,浮力による上昇に伴って気泡プルームが発生します. ずなわち,渦輪が気泡プルームの内部に射出されます.

渦輪が射出された気泡プルームの動画を図2-2に示します. 分解された静止画を図2-3に示します. 渦輪が気泡を渦核内部に巻き込みながら上昇する様子を把握できます.

図2-1 気泡プルームと渦輪射出の実験装置



図2-2 気泡プルーム中に射出された渦輪による気泡の巻込み(動画)



図2-3 気泡プルーム中に射出された渦輪による気泡の巻込み(静止画)